2023年09月08日
22023年 第35週
(令和5年8月28日~令和5年9月3日)
【今週の注目疾患】
■デング熱
2023 年第 35 週に県内医療機関からデング熱の届出が 1 例あり、本症例の推定感染地域は海外であった。
本年の累計届出数は 7 例となった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始以降、県内のデング熱の届出数は減少したが、2022 年は計 7 例の届出があり、本年も 7 月以降に計 7 例の届出があった。
2019 年から 2023 年第 35 週までに県内では 54 例のデング熱の届出があった。
性別は男性 37例(69%)、女性 17 例(31%)であった。
年代別では 20 代及び 30 代が各 12 例(各 22%)と最も多く、次いで 50 代が 11 例(20%)、10 代が 10 例(19%)であり、30 代以下が約 7 割であった。
推定される感染地域は全て国外であり、8 割以上が東南アジア地域、南アジア地域で、その他、オセアニア、中南米・カリブ、中東・アフリカ地域であった。
日本の輸入デング熱症例の動向については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始以降に届出数が減少したが、最近は増加傾向にある。
2022 年 7 月から 11 月には毎月 10 例以上の届出があり、2022 年 10 月には 24 例の届出があった。
また、2023 年は 7 月に 15 例の届出があり、前月の届出数(7 例)の 2 倍以上であった。
2022 年 8 月から 2023 年 7 月までの 1 年間の輸入デング熱症例 123 例における推定感染地域として多かったのは、ベトナム(30 例)、ネパール(19 例)、インドネシア(13 例)、フィリピン(11 例)であった 1)。
2023 年は東南アジア地域や南アジア地域、アメリカ地域など世界各地でデング熱の大規模な流行が報告されており 2-4)、海外渡航者の輸入症例等が増加する可能性が考えられることから、厚生労働省は注意喚起のため8 月 23 日付けで事務連絡を発出している 5)。
デング熱はデングウイルスの感染によって生じる感染症である。
主な媒介蚊はネッタイシマカ及びヒトスジシマカであり、ヒト→カ→ヒトの感染環により自然界に存在している。
現在、ネッタイシマカは日本国内には分布していないが、ヒトスジシマカは北海道を除く広範な地域に分布している 6)。
ヒトスジシマカは主に 5 月中旬~10 月下旬に活動が見られるため、蚊の活動が活発になる夏季~秋季は特に注意が必要である。
デング熱は蚊を介して感染する。
急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状が見られる。
発症した人が蚊に刺されると、その蚊にウイルスが移り、その蚊に刺された他の人に感染する。
そのため、デング熱の予防には蚊に刺されないようにすることが重要である。
海外の流行地へ渡航する際には、肌を露出しない長袖・長ズボンを着用する、素足でのサンダル履きを避ける、白など薄い色のシャツやズボンを選ぶ、虫よけスプレーや蚊取り線香を使用する、などの対策がある。
また、国外からの帰国時に発熱など心配な症状がある場合や体調に不安がある場合には、空港や港の検疫所に相談する。
潜伏期間は 2~14 日間(多くは 3~7 日)である。
帰国後に症状が出た場合には、速やかに近くの医療機関を受診し、渡航先や渡航期間、渡航先での活動を伝えることが重要である 7)。
なお、デング熱に限らず、海外においては国内では見られない感染症が流行していることがあり、海外滞在中に感染する可能性がある 8)。
海外へ渡航する際には、事前に渡航先における感染症の流行状況や現地滞在中の注意点をご確認いただきたい。
■参考・引用
1) 国立感染症研究所:日本の輸入デング熱症例の動向について(2023 年 8 月 15 日更新版)
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2) WHO 西太平洋地域事務局:Dengue Situation Update 678 17 August 2023
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3)WHO:Geographical expansion of cases of dengue and chikungunya beyond the historical areas of transmission in the Region of the Americas
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4) WHO:Dengue - Bangladesh
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5)厚生労働省健康局結核感染症課:デング熱に関する注意喚起等について
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6)国立感染症研究所: IASR Vol. 41 デング熱・デング出血熱 2015~2019 年
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7)厚生労働省:デング熱について
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8)厚生労働省検疫所 FORTH:夏休みに海外へ渡航される皆さまへ!
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
2023 年第 35 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の25.68 人から増加し、28.68 人であった。
地域別では特に 君 津(50.62)、市原(42.82)、長生(42.43)保健所管内で患者報告数が多かった。
県内 16 保健所中 14 保健所管内で前週より定点当たり報告数が増加した。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年9月6日更新)