2023年09月29日
22023年 第38週
(令和5年9月18日~令和5年9月24日)
【今週の注目疾患】
■結核
結核は、今でも年間 10,000 人以上の新しい患者が発生し、1,600 人以上が命を落としている日本の主要な感染症である 1)。
厚生労働省ならびに千葉県では、毎年 9 月 24 日から 9 月 30 日を「結核予防週間」として、結核予防に関する普及啓発を行っている 1),2)。
県では、2023 年第 1~38 週に 534 例報告されている。
県内における年間の累計報告数は 2016年以降減少傾向にあり、2022 年は 745 例と過去 10 年間で最少であった。
年齢別患者割合では、60 代以上の患者の割合が 2013 年は 46.9%であったが、2023 年は 56.2%と増加している。
また、2023 年は 20~30 代の割合が増加しており、2021 年が 14.2%、2022 年が 13.2%であるのに対して 2023 年は 18.9%へと増加した。
病型別では肺結核 229 例(42.8%)、無症状病原体保有者 179 例(33.5%)、その他の結核 106例(19.9%)、肺結核及びその他の結核 19 例(3.6%)、疑似症 1 例(0.2%)であった。
その他の結核で多かったのは結核性胸膜炎 53 例(10%)、結核性リンパ節炎 25 例(5%)、粟粒結核 9 例(2%)※であった(※複数症状のあるものはそれぞれに計上している)。
2022 年の日本の結核罹患率(人口 10 万対)は 8.2 であり 3)、前年(9.2)に比べ 1.0 減少し、引き続き結核低まん延国の水準である 10.0 以下となった。
千葉県の結核罹患率は 7.9 であり 3)、「千葉県結核対策プラン(平成 29 年 3 月改訂)」で 2020 年までの目標とした 10.0 4)を下回っている。
日本の結核罹患率は、米国等他の先進国の水準に年々近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にある。
但し、2020 年以降の結核罹患率の減少については、新型コロナウイルス感染症の影響も考えられるため、注意が必要である 3)。
罹患率が減少する一方で、新登録結核患者における外国生まれの患者の割合が増加しており、2022 年は全国で 11.9%と前年の11.4%から 0.5 ポイントの増加となっている。
特に 20~29 歳における外国生まれ新登録結核患者の割合は、前年の 72.6%から 77.5%と 4.9 ポイントの増加となっており、20~29 歳の新規患者のおよそ 4 分の 3 を占めている 3)。
県では外国人対策として、千葉県 DOTS 支援員等派遣事業により通訳を派遣し、患者の服薬支援の強化を図っている 4)。
●結核とは
結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つである。
結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いが、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがある。
特に、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要である1)。
■参考・引用
1)厚生労働省:結核(BCG ワクチン)
>>詳細はこちら
2)千葉県:結核予防週間
>>詳細はこちら
3)厚生労働省:2022年結核登録者情報調査年報集計結果について
>>詳細はこちら
4)千葉県:千葉県結核対策プラン
>>詳細はこちら
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
2023 年第 38 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の24.12 人*から減少し、14.43 人であった。
地域別では、特に市原(21.18)、君津(20.31)、長生(18.86)保健所管内で患者報告数が多かった。
*前週報告時点では 23.99 人
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年9月27日更新)