2024年01月19日

2024年 第2週
(令和6年1月8日~令和6年1月14日)

【今週の注目疾患】
■結核
 2024 年第 2 週に県内医療機関から結核の報告が 32 例あり、2024 年累計では 39 例となった。
性別では男性 29 例、女性 10 例であり、年代別で多いのは 80 代が 10 例、40 代および 50 代がそれぞれ 7 例ずつであった。
 直近 10 年間において第 2 週時点における累計が 39 例を超えたのは 2017 年(41 例)以来である。

 県内における年間の結核累計報告数は 2017 年から減少傾向にあり、2023 年の累計報告数は 706 例と過去 10 年間で最少であった。
性別では男性 424 例(60.1%)、女性 282例(39.9%)と男性が多かった。
年代別では 80 代以上が 197 例(27.9%)、70 代 123 例(17.4%)、60 代 81 例(11.3%)と高齢者が多かった。
病型別では肺結核 299 例(42.4%)、無症状病原体保有者 242 例(34.3%)、その他の結核 137 例(19.4%)、肺結核及びその他の結核 27 例(3.8%)、疑似症 1 例(0.1%)であった。
その他の結核で多かったのは結核性胸膜炎 71 例、結核性リンパ節炎 36 例、粟粒結核 12 例であった(複数症状のあるものはそれぞれに計上している)。
 結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つである。
結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いが、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがある。
特に、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要である 1)
 結核は肺結核が代表的であるが、それ以外にも頸部リンパ節結核、脊椎カリエス、腸結核、腎結核など全身の様々なところに病巣を形成する(肺外結核)。
菌が血流により全身に行きわたり(粟粒結核)、髄膜に到達する結核性髄膜炎などもある。
現在では、粟粒結核は早期発見により治癒の可能性が高まっているが、髄膜炎は 3 分の 1 が死亡し、治っても半数近くは脳に重い後遺症を残すことがある 2)。
 結核の治療は、無症状病原体保有者については、潜在性結核感染症として数か月間薬を服用することで発病を予防する。
患者についても、一定期間毎日複数の薬を服用して治療する。
不適切な断薬は治療に失敗するばかりでなく、結核菌の薬剤耐性化を招く。
確実な治療のため、入院中も退院後も医療従事者が服薬を見守る仕組みを DOTS といい、医療機関と保健所が協力して行う 3)。
また、小児の結核性髄膜炎や粟粒結核の予防にはBCG 接種が極めて有効であり、1 回の接種で 10~15 年程度効果が持続すると考えられている。
標準的な接種スケジュールは生後 5~8 か月であり、市町村からの案内に従い接種する 4)

■引用・参考
1)厚生労働省:結核(BCG ワクチン)
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2) 公益財団法人結核予防会結核研究所:結核の基礎知識
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3)公益財団法人結核予防会結核研究所:結核の常識 2023
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4)厚生労働省:結核と BCG ワクチンに関するQ&A
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2024 年第 2 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 7.50 人*から増加し、11.41 人であった。
 地域別では、君津(18.92)、香取(18.33)、印旛(16.58)保健所管内で患者報告数が多かった。
*前週報告時点では 7.49 人

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和6(2024)年1月17日更新)