2024年03月08日
2024年 第9週
(令和6年2月26日~令和6年3月3日)
【今週の注目疾患】
■水痘
2024 年第 9 週に県内の小児科定点医療機関から報告された水痘の定点当たり報告数は、前週の0.13(人)から増加し、0.18(人)であった。
また、同週に県内医療機関から水痘(入院例)の届出が 1 例あり、母国(アジア地域)帰国中の感染と推定されていた。
本年の水痘(入院例)の累計届出数は 3 例となった。
2014 年 10 月 1 日から水痘の予防接種は定期接種となり、以降、小児科定点医療機関からの水痘の報告数は減少傾向にある。
特に、定期接種対象(生後 12 月から生後 36 月)が含まれる年齢群において報告数が減少し、現在では 5 歳以上の患者の占める割合が相対的に増加している。
また、定期接種化に先立ち、2014 年 9 月 19 日(2014 年第 38 週)からは水痘の入院例(水痘で 24 時間以上入院したもの(他疾患で入院中に水痘を発症し、発症後 24 時間以上経過した例を含む)が対象)の全数把握が始まり、サーベイランス開始以降、2024 年第 9 週までに 125 例の届出があった。
水痘(入院例)については、20 代以上の届出が主となっている。
水痘は水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染による感染症である。
水痘の潜伏期は 2 週間程度(10~21 日)であるが、免疫不全患者ではより長くなることがある。
成人では発疹出現前に 1~2 日の発熱と全身倦怠感を伴うことがあるが、子どもでは通常発疹が初発症状である。
発疹は全身性で掻痒を伴い、紅斑、丘疹を経て短時間で水疱となり、痂皮化する。
通常は最初に頭皮、次いで体幹、四肢に出現するが、体幹にもっとも多くなる。
数日にわたり新しい発疹が次々と出現するので、急性期には紅斑、丘疹、水疱、痂皮のそれぞれの段階の発疹が混在することが特徴である。
またこれらの発疹は、鼻咽頭、気道、膣などの粘膜にも出現することがある。
臨床経過は一般的に軽症で、倦怠感、掻痒感、38 度前後の発熱が 2~3 日間続く程度であることが大半である。
成人ではより重症になり、合併症の頻度も高い 1)。
免疫不全状態にある者が水痘・帯状疱疹ウイルスに初感染し、水痘を発症した場合には、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全、内臓播種性水痘等を合併し、極めて重篤な経過をとる場合がある。
また、出産 5 日前から出産 2 日後に母体が水痘を発症すると、妊婦自身が重症化する可能性に加えて、児が重症の新生児水痘を発症する可能性がある 2)。
4 月からの入園・入学に備え、子どもに対する予防接種への関心を高め、予防接種実施率の向上を図ることを目的として、3 月 1 日~7 日は子ども予防接種週間として、公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本小児科医会、厚生労働省及びこども家庭庁の主催により、予防接種に関する取り組みが実施されている 3)。
水痘にはワクチンがあり、現在国内では乾燥弱毒生水痘ワクチン(以下、水痘ワクチン)が用いられている。
水痘ワクチンの 1 回の接種により重症の水痘をほぼ 100%予防でき、2 回の接種により軽症の水痘も含めてその発症を予防できると考えられている。
水痘ワクチンの定期接種は、生後 12 月から生後 36 月(1 歳の誕生日の前日から 3 歳の誕生日の前日まで)の間に 2 回の接種を行うこととなっており、1 回目の接種は標準的には生後 12 月から生後 15 月までの間に行う。
2 回目の接種は、1 回目の接種から 3 月以上経過してから行うが、標準的には 1 回目接種後 6 月から 12 月まで経過した時期に行うこととなっている 4)。
■参考・引用
1) 国立感染症研究所:水痘とは
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2) 厚生労働省:14 水痘(入院例に限る。)
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3) 厚生労働省:令和 5 年度「子ども予防接種週間」の実施について
>>詳細はこちら
4) 厚生労働省:水痘
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
2024 年第 9 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 8.81 人から減少し、7.72 人であった。
地域別では、君津(13.69)、印旛(10.92)、市原(10.00)保健所管内で患者報告数が多かった。
(令和6(2024)年3月6日更新)