2023年04月07日
2023年 第13週
(令和5年3月27日~令和5年4月2日)
【今週の注目疾患】
■後天性免疫不全症候群
2023年第13週に県内医療機関から後天性免疫不全症候群の届出が2例あった。
いずれも男性であり、病型別ではAIDSが1例、無症候性キャリアが1例であった。
2023年はこれまで第1週から第13週までに累計11例が届出されており、2019年以降の過去5年間の同時点(第13週時点)では最も多くなっている。
2023年に届出のあった11例のうち、性別では男性が9例/11例(82%)で大部分を占めており、年代別では40代が4例/11例(36%)で最も多く、次いで30代が3例/11例(27%)、20代が2例/11例(18%)と続いた。病型別ではAIDSが6例/11例(55%)で半数以上を占めていた。
県内における最近の後天性免疫不全症候群の発生動向では、2018年以降、年間の発生届出数は年々減少傾向にあるが、AIDSが後天性免疫不全症候群の症例全体に占める割合は2019年以降、年々上昇傾向がみられている。
後天性免疫不全症候群はヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)に感染することで免疫不全が生じ、健常者では通常見られないさまざまな日和見感染症や悪性腫瘍が合併した状態をいう。
HIV感染の自然経過は感染初期(急性期)、無症候期、AIDS発症期の3期に分けられ、時間が経過するとともに免疫システムの破壊が進行するため、早期診断、治療がとても重要となる1)。
近年、さまざまな研究において、効果的な抗HIV治療を受けて血液中のウイルス量が検出限界値未満(Undetectable)のレベルに抑えられているHIV陽性者からは他の人に伝播しない(Untransmittable)こと(U=U)が分かってきており、早期治療の開始で新たな感染を防止する(Treatment as Prevention;TasP)という考え方が主流になってきている。
無症候期は数年~10年ほどと長く、新たな感染者を発生させずに効率的な診断・治療につなげるためには、特に無症状者が自発的に検査を受検できる体制が不可欠である。
県では、保健所等で無料・匿名のHIV検査を実施しているとともに、(公財)ちば県民保健予防財団への委託検査や休日街頭検査も実施している2)。
新型コロナウイルス感染症の流行状況に伴い、変更される場合もあるため、本年度の実施日程等の詳細は県ホームページをご確認いただきたい。
■参考
1) AIDS(後天性免疫不全症候群)とは:国立感染症研究所
>>詳細はこちら
2)千葉県内のエイズ等相談・検査:千葉県
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年4月5日更新)