2023年10月27日

2023年 第42週
(令和5年10月16日~令和5年10月22日)

【今週の注目疾患】
■A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 2023 年第 42 週に県内の小児科定点医療機関から報告された A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は 3.80(人)であった。
本疾患は季節性があり、冬季及び春から初夏にかけて患者数が増加する特徴が見られるが、2021 年以降明らかなピークを形成せず、患者報告数が減少した状況が続いていた。
2023 年は第 34 週以降、定点当たり報告数が増加傾向にあり、第 39 週から第 42 週の定点当たり報告数は過去 5 年間の同時期と比較して多い。
複数の保健所管内で定点当たり報告数が増加傾向にあり、今後の発生動向に注意が必要である。
なお、全国の発生状況についても、過去 5 年間の同時期と比較してかなり多いことが報告されている 1)。

 2023 年第 1 週から第 42 週までに県内小児科定点医療機関から報告のあった A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数は 5,736 例であった。
年齢別では、5 歳が 849 例(15%)と最も多く、次いで 6 歳 765 例(13%)、4 歳 677 例(12%)であり、9 歳以下が全報告数の 80%を占めた。

 A 群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす 2)。
 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得るが、学童期の小児に最も多く、3 歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少ない。
本疾患は通常、患者との接触を介して伝播するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多い。
感染性は急性期にもっとも強く、その後徐々に減弱する 2)。
 潜伏期は 2〜5 日であり、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。
咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがある。
予防としては、患者との濃厚接触を避けること、うがい、手洗いなどの基本的な感染対策が有効である 2)。

■参考・引用
1)厚生労働省・国立感染症研究所:IDWR 感染症週報 2023 年第 40 週
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは
>>詳細はこちら

■インフルエンザ
 2023 年第 42 週の県全体のインフルエンザの定点当たり報告数は、前週の 20.86(人)から増加して 29.39(人)となった。
例年より早期に患者報告数の増加が見られているため、今後の発生動向に注意が必要である。
年齢群別では、2023 年第 42 週に報告のあった計 5,995 例のうち、10歳未満が 2,638 例(44.0%)と最も多く、次いで 10 代 2,069 例(34.5%)、40 代 360 例(6.0%)であり、20 歳未満で患者報告数全体の 78.5%を占めた。
 地域別では、香取(77.83)、海匝(71.00)、松戸(34.91)、船橋市(33.53)、君津(32.77)、印旛(32.71)、習志野(31.87)保健所管内で警報レベル(開始基準値:定点当たり 30.0 人)を超えた。

 インフルエンザ予防のため、こまめな手洗い、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、室内でのこまめな換気、適度な湿度の保持、予防接種などを心がけていただきたい 1,2)。
■参考・引用
1)千葉県健康福祉部疾病対策課:インフルエンザ注意報の発令について(令和 5 年 9 月 20 日)
>>詳細はこちら
2)千葉県健康福祉部疾病対策課:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023 年第 42 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 3.75 人から減少し、3.11 人であった。
 地域別では、君津(4.31)、夷隅(4.20)、香取(4.00)保健所管内で患者報告数が多かった。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年10月25日更新)